オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
「カッターとジャッキ!」
「はい!」
「固定!」
「はい!」

 車体を固定してスプレッダーで抉じ開ける。それでもダメな時は、カッターで切断していくのだ。運転手は、潰れた車内の隙間に足が挟まれていて、救助に手間取る。

 その間に別の隊員が、後部座席のドアも抉じ開けていた。

「子供は?」
「息はあります」

 チャイルドシートに乗っていたので、飛ばされずに済んでいる。ただ、シートベルトで圧迫されていて、すぐに救急車で運ばないと危険だ。

「奥の女性は?」
「微かに息はありますが、脈が弱いです!」

 チャイルドシートをどかせて、ぐったりとしている女性がどこか挟まれていないか確認する。

「そっと出すぞ」
「はい!」

 事故現場は一分一秒を争う。人の命が掛かっているのだ。訓練していても、現場ごとに状況が異なる。

「軽自動車から少しオイルが漏れています!」
「吸着材! 火花を出すなよ!」

 ガソリンに火がついてしまったら、車は一気に燃えてしまうのだ。


< 111 / 120 >

この作品をシェア

pagetop