オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
「ひまり~お疲れさま」
「亜沙美……ありがとう」

 卒園式の後、保育室で片づけをしている私に亜沙美が声を掛けてくれる。

「今年一年、ひまりも色々あったけど無事に子供達が卒園したね」
「うん。いつも助けてくれてありがとう」
「こちらこそ」
「これからもよろしく!」

 幼稚園を巣立っていき、また次の子供達が入園してくる。

「もう片づけ終わった?」
「うん」
「じゃあ、行こう」
「どこに?」
「大崎さんが首を長くして、ひまりが終わるのを待ってるわよ」
「え?」

 凛太郎さんが迎えに来てくれたことに驚いている私を、早くと言って急かす亜沙美。

「あっ、これ誕生日プレゼント。おめでとう」
「あ、ありがとう」

 保育室を出ると、大きな花束を持った凛太郎さんが待っていた。

 他の先生達も職員室から見ている。

「ひまり」
「凛太郎さん……」
「一年間お疲れ様」
「ありがとう」

 極上のスマイルに、先生達が大騒ぎしていた。

「出られる?」
「う、うん」

 急いで職員室から荷物を持って凛太郎さんの元へ走り寄る。

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