オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
「あのっ」
「ん?」
「そういえばお会計は?」
「ああ、済んでる」
「え?」
「ひまりは何も心配しなくていい」
「でも……」

 確かに今払えと言われても一銭も持っていない。だから、そのことを説明して後日支払いに来るつもりだったのだ。

 困惑したまま私は、駐車場まで連れて来られる。

――ピピッ

 リモコンに反応した真っ黒でピカピカのSUV車のハザードランプが反応した。
 
 助手席のドアを当たり前のように開けてくれる凛太郎さんに、男性経験のない私はドキッとする。まるで自分がおとぎ話の主人公になったような感覚だ。私が乗り込んでドアを閉めると運転席に乗り込み、車は静かに出発する。

「体調は?」
「もう大丈夫です」
「じゃあ、先に買い物へ行こうか。色々と必要だろう?」
「いいんですか?」
「もちろんだ。それよりそろそろ敬語は止めてもらえるか?」
「でも……」
「そうだな。お互いのことをもう少し知った方がいいのかもな。ひまりは何歳だ?」


  
< 30 / 120 >

この作品をシェア

pagetop