オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
 父は母が亡くなったことも知らないはずだ。母が連絡を取っていたかも今になってはわからない。ただ、母の遺品からは父に関する物はなかった。

 お互いのことを話しているうちに目的地へと到着し、車はショッピングモールの駐車場へと入って行く。車を持っていない私は、初めて訪れる場所だ。

「まずは、生活必需品だな」
「あっ……」
「どうした?」
「私、一銭もないんでした」
「ああ、諸々の手続きが必要だな。でも、まずは服や靴や下着は必要だろう? 俺が払うから気にするな」
「でも……」
「毎日その服を着るのか?」

 そんなわけには行かない。でも何もかも焼けてしまって、手続きするには時間が掛かりそうだ。

「必ずお返ししますので、貸してもらえますか?」
「気にするな。あっ、そうだ」

 凛太郎さんがポケットからスマホを取り出し私に差し出す。

「え?」
「スマホがないと困るだろう? でも、契約するのは身分証明書がいる。だから、俺の名義でもう一台契約した」


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