オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
 でも職場にあんなに綺麗な女性がいると知って、私はモヤモヤしている。彼女がいないと聞いているけど、いない方が不思議なくらいのイケメンだ。

 彼女ができたと言われる日が来るかもしれないと思うと、胸が締めつけられる。

 この気持ちは何?

 私を助けてくれた恩人を取られることが嫌なだけだと自分に言い聞かせた。こんな感情を抱くことが初めてで、私自身が一番戸惑っている。気持ちを振り切るように、足早に消防署の前を通り過ぎた。

 役所の手続きは思っていた以上に大変で、銀行まで辿り着かずに帰宅する。また明日出直しだ。

「はぁー、疲れた……」

 もう何もする気がしない……

 凛太郎さんが帰って来ないので、リビングのソファで脱力していた。

――ピンポーン

 そこへ突然インターフォンが鳴る。

「……え?」

 宅配業者かもしれないし、念のためモニターを見ると女性が映っていた。

「誰?」

 私が出る訳にはいかないし、しょうがないので居留守を使う。ソファに座っても気持ちが落ち着かない。

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