オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
 こんなラグジュアリーなホテルに泊まった経験がない私と、女性の扱いには慣れてそうな凛太郎さんでは経験値が違い過ぎる。

「行くぞ」
「は、はい」

 おどおどしている私の姿が周囲にはどう見えているのだろうか。そんなことを考えているうちに、エレベーターに乗り込みどこかの階に着いた。

 フロアを一目見た瞬間に、場違いな気がする。まだ、濡れている服で歩くことにも気が引けた。

「ん? どうした? 変な歩き方をして」
「つま先で歩いたら、少しでもマシかと思って」
「ブハックククッ」

 少しでも床を濡らさないようにと思って気を遣ったつもりが、凛太郎さんを笑わせただけのようだ。

「それなら部屋でシャワーを浴びるのが一番だ」

 連れて来られた部屋に入って、私は更に驚くことになる。

――ガチャ

「どうぞ」
「お、お邪魔します……」

 一歩足を踏み入れただけで、一般的な客室とは違うと感じた。なぜなら、ちょっとしたソファやテーブルと一緒にベッドもあるはずなのに、目の前にはリビングしかない。


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