オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
　思えば消防署へ見学に行ってなかったら、凛太郎さんと出会うこともなかった。火事で助けてもらっても、ただの要救助者であって居候させてもらうこともなかったはず……

　偶然の出会いに私は助けられたのだ。

「ひまりせんせい～！」
「せんせい！」

　元気な声が聞こえてきて、ぞう組の子供達が一目散に駆けて来る。

「走ると危ないわよ！」

　私の姿を見て嬉しそうに走ってくる子供達。この瞬間に、改めて命が助かったことに感謝した。

「おはよう」
「せんせいだいじょうぶ？」

　挨拶も忘れて私の心配をしてくれる。

「もう大丈夫だよ」
「よかったー」
「おはようございます。ひまり先生ご無事で良かったです」
「ありがとうございます」

　園児だけでなく保護者からも安堵の言葉をもらい、心配をかけたのだと実感する。

　あの時、母のところへ行かず戻って来て良かった。子供達に哀しい思いをさせるところだった。

　子供達が登園するたびに同じ反応が続く。


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