オレンジのヒーローは永遠の愛を誓う
 幼稚園に復帰してからは、いつも通りの日常が流れる。

 火事の前と変化したのは、私の住む場所と凛太郎さんの存在。

 消防署に勤務する凛太郎さんはシフト制ですれ違うことも多い。でも非番や休日には家事をしてくれる。一人暮らしの時は、当たり前に何もかも自分でしていたのに、世話になってるうえに私の負担が減って申し訳なく思うくらいだ。

 火事で失ったものは大きいけれど、得たものも大きい。

 団地の火災の原因調査も終わり、漏電によるものだとハッキリした。火災保険に入っていたので、いずれは保険金か支払われる。

 いつまでもここでお世話になっている訳にもいかないとわかっているけど、凛太郎さんと離れるのが辛いのだ。

 自分の気持ちをハッキリと自覚すると、凛太郎さんの存在が日々大きくなっていく。

 きっとドキドキしているのは私だけで、凛太郎さんは私の状況に同情しているだけだ。

 それでも、もう少しこの関係を続けたい――


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