君がいなけりゃ、意味がない

6'



---------------------------------------------


「ふ……あはは」


「……コワ。朝から何を一人で笑ってんすか、先輩」


「あ、おはよう神崎くん。
今ね、次のイベントのお知らせみてた」


「次、何?」


「『"紅葉" を、見に行 "こうよぅ"』、だって」


「……中途半端やなぁ」


「一生懸命考えた感じが、堪らないでしょ」


「ナチュラルに酷いこと言うよね、たまに」


「『もしくは』、」


「え?モシクハ?」


「『[ボードゲーム]で遊ぼう』」


「なんやその二択。
実行委員たち、ついに仲間割れしたんか?」


「神崎くん、どっち行く?」


「えー。俺ボードゲームとか、やったことないしなぁ」


「そっか。じゃあ次回は、完全別行動だね」


「え、もしかして先輩……」


「私、ボードゲームとかテーブルゲーム……大っ好きなんだよね。やっぱり、カード系が一番好きかな。
協力必須なのに気付いたらギスギスしてるヤツとか、もう最高」


「やばい。何言ってるかわからん」


「というわけで……」


「いや、俺も丁度思っとったんですよ。
ボードゲームやりたいなぁて」


「え。数秒前に『やったことない』って言わなかった?」


「気のせいやないですか?」


「いいの?また負けちゃうよ?大富豪の時みたいに」


「そんなプライドよりも、大事なことがあんねん。こっちには」


「じゃあ、また勝負だね」


「まあもう実質、勝ちみたいなもんですけどね」


「あれ。時間なのに、朝礼始まらなくない?
当番の人、遅刻かなぁ」


「……先輩じゃないですか?今日の当番」


「ヒィッ」


---------------------------------------------
< 15 / 26 >

この作品をシェア

pagetop