君がいなけりゃ、意味がない

4'


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「おはよー」


「おはようございます」


「いよいよ電車、空いてきたねぇ。年末感〜」


「ね。毎日そうであってほしい」


「あ、そうだ。
貰ったフラスコ、すっごい良かったよ!
香りの広がりが上品でさぁ。
ワンランク上の暮らし?いや、丁寧な暮らし?を感じたナ」


「俺も使ったよ、低温調理器。
"QOL"上がったわぁ」


「あ、それだ。私が言いたかったこと。
きゅーおーえる」


「その割には一文字も出てきてなかったけどね。
てか、フラスコとか言うてなかった?」


「そーいや神崎くん、年末年始どうするの?関西帰省?」


「帰省は夏にしたから、今回はこっちで過ごすつもり。先輩は?」


「コタツで過ごすつもり」


「あー、似合うわぁ……」


「というかさー。
まだ何も、通知されないもんなんだね」


「……来月のイベントのことなら、お知らせ来てたやん。次は[餅つき]やって」


「うお、見逃してた。私、磯辺焼き派ー」


「俺は砂糖醤油派ー」


「って、そうじゃなくて。異動の内示のことだよ。
転居を伴うかもしれないのにさー。
やっぱり2月くらいなのかな?」


「そんな話、したくない」


「あれれ?
なんだかんだ神崎くん、寂しがってたりする?
ただの『遊び相手』とか言ってたのにさぁ〜」


「いや、それ言うたん先輩でしょ。
ほんま…………人の気も知らんと」


「うげっ!待って、今日の朝礼担当……課長代理じゃん!
目が合ったら最後、なんか発言させられるゾ。
お願いっ!!背中で私を隠してぇ」


「うわ、ずっる。断りてぇ」


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