君がいなけりゃ、意味がない

2'



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「あ。神崎くん、おはよう」


「…………おはようございます、先輩」


「ちょっとだけ電車遅延してたね。歩いて来たの?」


「……いや、頑張って乗った」


「うへぇ。激混みだったでしょ、絶対。
朝からお疲れ様」


「うん…………」


「それで、さ……」


「……………………」


「内示………なんだけど…………」


「……………………………………」


「………………ナイんだけど」


「………………はい?」


「だから………………内示が、ナイの」


「え、ギャグ?」


「いや、バグ」


「いや、どゆ意味……
内示、まだ出てないってこと?」


「いや、出た」


「え。……で?」


「でも…………私の名前がナイの」


「えっ」


「バグ?」


「え、部長は?なんて?」


「聞いてない」


「なんで」


「なんか……怖くて」


「なにがよ」


「だって……どうする?
異動じゃなくて、クビだなんて言われたら。
単に忘れられてるだけなら、惨めだし……」


「いやナイでしょ、どっちも」


「あ、何かメール来た……
あー。『3月のイベントお知らせ』だって」


「あぁ……まだ来てませんでしたっけ」


「ね。今回の配信遅かったね。
にしても朝礼前なのに勤勉ダナ、実行委員。
ってか年度末なのに、開催あるんだね」


「……内容は?」


「えーと……え??
『送別会に行こう』……」


「え、普通に?」


「去年、参加率悪かったのかなぁ」


「てか先輩……あの……
まるで、何もなかったのような振る舞いじゃない?」


「いや、結構ショック受けてんだけど」


「……そやなくて。
俺……一応、したつもりなんですけど。告白」


「あ……」


「え、忘れてた?そんなことある?」


「ご、ごめん。
今は頭の中、[内示 (だいなり) その他]だったよ」


「……もー」


「ごめんね?……怒った?」


「怒った。だから、朝礼終わったら部長んとこ行って聞いてきてください」


「……コワイ」


「怖くても行くの」


「はぁい…………」


「……ほんで早く、俺のことだけ考えて」


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