君がいなけりゃ、意味がない

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「先輩、こっちにめっちゃ大きいヤツありますよ」


「…………」


「お。これとかどうすか?ヘタ近くまで真っ赤」


「……………………」


「……無視やし。流石に真剣すぎん?」


「……………………神崎くん」


「はい」


「ここは戦場だよ?」


「はい?」


「戦わなきゃ!
誰よりも多く、美味しいイチゴを食べるために!!
私の後ろをヨチヨチ着いてきてる場合じゃないんだよ」


「うちの部署の人でそんな闘志燃やしてんの、先輩ぐらいっすよ」


「というか、1個も食べてなくない?
ヘタ入れ空じゃん。
あ……ヘタまで食べる派?」


「いや、ナイでしょ。そんな派閥」


「とにかく食べてみなって!」


「ええんすよ俺は。見とく派」


「それこそナイよ。
神崎くん、ちょっと屈んで」


「なんすか」


「はい。"あーん"」


「え゛」


「ノリ悪いなぁ。口開けてよ」


「……いやいや。先輩、そんなんするキャラちゃいますやん。
どんなけテンション上がってんすか」


「もったいない精神?」


「わーありがてぇー……」


「食べないの?」


「…………食べる」


「じゃあ、ハイ。一番おいしそーなのあげるから。
"あーん"しなっ」


「………………」


「どう?最高でしょ」


「うん…………もはや味わからんけど」


「え。あれ……。うそ、やばいかも。
神崎くん、もしかして……」


「……何?」


「いちごアレルギー!?」


「え。ナイよ、そんなん」


「でも……顔赤いよ?」


「チガウ。擬態してるだけ。周りの景色に合わせて」


「なにそれ。無利益にも程がある」


「……そんなことより、早くした方がええんちゃいます?
持ち帰り分も選ぶんでしょ」


「え、後何分?」


「10分ないくらい」


「ヤバいじゃん!
ねぇねぇ。もう食べないならさ、
美味しいやつみつけるの手伝ってぇ」


「頼まれなくても助けてあげますよ。先輩のことは」


「すご。後輩の鑑だね」


「…………」





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