『頭脳派 vs. 肉体派』ドリームチームデスマッチ
リングアナウンサー(以下、リングアナと省略)「さあ始まりました『頭脳派 vs. 肉体派』ドリームチームデスマッチ! 解説のランバダさん、よろしくお願いします」
解説のランバダ(以下、解説と省略)「よろしく」
リングアナ「ヒロインの愛を得るために頭脳派と肉体派のヒーローたちがチームに分かれて戦います。勝つのはどちらのチームなのでしょう? とても楽しみですね」
解説「そうですね」
リングアナ「それでは出場選手をご紹介します。まずは頭脳派ヒーローチームからです。知的でスマート、いつも余裕のある振る舞いが魅力的な頭脳派ヒーローチームのメンバーはインテリ、眼鏡男子、策士、文官、魔術師、錬金術師となっております。ランバダさん、いかがでしょう?」
解説「勝負がバトルであることを考えた、実力重視のラインナップですね」
リングアナ「続いて肉体派ヒーローチームをご紹介します。頼りがいのあるスタイルとワイルドな魅力があふれる肉体派ヒーローチームのメンバーは消防士、レスキュー隊、自衛官、騎士、竜騎士、騎士団長となっております。さあ、こちらのチームはいかがですかランバダさん!」
解説「万全の布陣です。完璧なスターティング・オーダーと言っていいと思いますよ」
リングアナ「両チームの配置ですが……頭脳派ヒーローチームは前衛にインテリ、眼鏡男子、文官を置き、後衛に策士、魔術師、錬金術師が並んでいます。この陣形をどう見ますか?」
解説「前衛のインテリ・眼鏡男子・文官はスマートな体つきですが、実は細マッチョです。かなり鍛えていますから、肉体派ヒーローチームでも侮れません。手ごわいと思いますよ」
リングアナ「前衛での肉弾戦への備えは十分と言ったところでしょうか。後衛の策士、魔術師、錬金術師はどう見ます?」
解説「魔術師と錬金術師は、自分たちの得意な分野である魔術と錬金術を使ってくるでしょう。問題は、策士です。策士が何を企んでいるのか、誰にも読めませんよ」
リングアナ「さすがは策士ですね。それでは肉体派ヒーローチームの構えですが、前衛は自衛官、騎士、竜騎士、騎士団長、後衛は消防士、レスキュー隊となっております」
解説「フロントの四名は敵陣に突撃する構えを見せていますね。背後を守る消防士とレスキュー隊は、それぞれ自分たちの仕事をするのでしょう」
リングアナ「と、申しますと?」
解説「敵の魔術的な攻撃で火災が発生する恐れがあります。消防士は火災を迅速に消火します。負傷者が出たらレスキュー隊が出ます。このようにバックの守りが充実していますからね、これで安心して前の四人は戦えるわけです」
リングアナ「なるほど、肉体派ヒーローチームは優れた戦略を立てて戦いに臨んでいますね」
解説「そうです。頭脳派ヒーローチームのメンバーが肉体を極限まで鍛え戦いに備えたように、肉体派ヒーローチームは知略の限りを尽くして勝とうとしているのです」
リングアナ「そうなりますと、勝敗の行方は読めませんね」
解説「まったくです」
リングアナ「それでは試合のルールを説明いたしましょう。両チームが戦い、相手を降参させるか、最後まで戦場に残っていた方が勝ちとなります。細かい裁定はレフェリーが判断しますが、事前に決められたルールでは、頭脳派ヒーローチームは魔術と錬金術の使用を許される、とあります。つまり頭脳派ヒーローチームは、超自然的な力を使って戦うことができるわけで、これは大変に有利だと思われるのですが、解説のランバダさん、これはどうなのでしょうか?」
解説「その条件を呑む代わりに、肉体派ヒーローチームは同様にファンタジー世界的な能力を使用して良いことになりましたから、おあいこでしょう」
リングアナ「試合開始時刻が迫って参りました。レフェリーが時計を見て、ホイッスルを吹き、試合開始です。肉体派ヒーローチームの前衛四名が突進、対する頭脳派ヒーローチームが、それを受けて立ちますが、数的に不利ですね」
解説「いえ、よく見てください。後衛の錬金術師がゴーレムを召喚し、前方へ送り出しましたよ」
リングアナ「頭脳派ヒーローチームの錬金術師が早速ゴーレムを召喚しました。ゴーレムは強力な魔物です。これには、さすがの肉体派ヒーローチームも歯が立たないか?」
解説「いえいえ、そんなことはありません。ファンタジー世界の騎士、竜騎士、騎士団長は、ゴーレムと戦った経験がありますからね。彼らが相手をします」
リングアナ「ご指摘の通り、騎士・竜騎士・騎士団長のファンタジートリオがゴーレムと戦っています。ファンタジー世界的な能力を、こういう風に使うとは思いませんでした」
解説「ゴーレムの登場を予期していたのでしょうね」
リングアナ「ファンタジー勢が魔物ゴーレムと戦っている一方で、自衛官はインテリ、眼鏡男子、文官の三人と同時に戦っています。三対一という数的不利を感じさせない戦いぶりです。さすがですね!」
解説「劉備・関羽・張飛の三人と同時に戦った呂布を思い出します」
リングアナ「おや、頭脳派ヒーローチームの後衛に動きがありますよ……魔術師が呪文を唱えています。ああ、ファイヤーボールの魔法だ! 燃える火の玉ファイヤーボールが肉体派ヒーローチームに向かって飛ぶ! これを迎え撃つのは消防士だ! 手にしたホースから勢いよく水を出し、火の玉を消した!」
解説「見事な腕前ですね」
リングアナ「おや、ゴーレムの様子がおかしいぞ。ホースの水が掛かった部分が崩れた!」
解説「ゴーレムは泥から作られています。元々は泥人形、それを錬金術師が操っているのですが、本体は泥ですので、水が弱点なのです。大量の水を浴びると、硬さを失い崩れます」
リングアナ「たまらずゴーレムが後ずさりする。その隙を肉体派ヒーローチームは逃さない! 前進する、一気に攻撃だ! 頭脳派ヒーローチームは受けて立つが……相手に勢いがある、支えきれず、後退する!」
解説「肉体派ヒーローチームが俄然、優位になりましたね」
リングアナ「拮抗した戦いでしたが、ここにきて頭脳派ヒーローチーム、押されています。おっと、陣形が崩れた。総崩れだ!」
解説「全面撤退ですね。算を乱して逃げ出していますよ」
リングアナ「さあ肉体派ヒーローチーム、敵を追って、追って、追いかけるようです。追撃戦です」
解説「勝負を決めるつもりですね」
リングアナ「頭脳派ヒーローチーム、もはやなすすべなしか……あっとぉ! 追撃中の肉体派ヒーローチーム前衛が吹き飛んだぞ! 地面と一緒に、吹き飛んだ! これは、これは一体、どういうことなのでしょう!?」
解説「地雷ですね。罠です。策士が仕掛けた地雷の罠に引っかかったのです」
リングアナ「撤退したのも頭脳派ヒーローチームの作戦だったのでしょうか!」
解説「いや、それにしてはダメージが大きい。敗北必至の戦況を覆す最後の手段でしょう。五分五分の引き分けに持ち込むのが狙いだと思いますよ」
リングアナ「ランバダさんのご指摘の通りのようですね。肉体派ヒーローチームの猛攻撃で、頭脳派ヒーローチームのメンバーは大ダメージを受けました。もはや立っていることができず、座り込んだり倒れたりしています」
解説「肉体派ヒーローチームのメンバーも大怪我で動けませんよ」
リングアナ「ああっ! レスキュー隊の出動です! レスキュー隊が怪我人を救助しています。自らも怪我をしているのに、他の怪我人を助けています!」
解説「仲間の肉体派ヒーローチームだけでなく、敵である頭脳派ヒーローチームも助けていますよ。素晴らしいことです」
リングアナ「レスキュー精神の鑑のような行動ですね。レスキュー隊が最後の負傷者を担架に乗せ、戦場を後にします。審判団や観客全員が拍手で送っています」
解説「我々も拍手しましょう、パチパチ」
リングアナ「さあ、これで試合は終わったわけですが……勝敗はどうなるのでしょうか?」
解説「戦場に誰も残っていませんからね」
リングアナ「審判団が協議を始めました」
解説「審判団の判断を待ちましょう」
リングアナ「結論が出たようです。審判団長がマイクを握り、場内に説明します……引き分け、引き分けです!」
解説「最後に戦場を出たのは肉体派ヒーローチームのレスキュー隊ですから、レフェリーは最初、肉体派ヒーローチームの勝利を宣告しようとしたのですが、策士から物言いがついたのですよ。最後に担架に乗った自分も戦場に残っていた、と」
リングアナ「審判団は策士の言い分を認め、引き分けを宣告したのですね」
解説「策士の最後の悪あがきが、敗北を回避させたのです」
リングアナ「ランバダさんがおっしゃったように、策士の策が奏功しました」
解説「肉体派ヒーローチームは勝利の寸前までいったのですけど、惜しかったですね」
リングアナ「放送時間が無くなって参りました。ここで失礼させていただきます。解説のランバダさん、どうもありがとうございました」
解説「どうもありがとうございました」
リングアナ「これにて実況放送を終わらせていただきます。それではみなさん、さようなら」
解説のランバダ(以下、解説と省略)「よろしく」
リングアナ「ヒロインの愛を得るために頭脳派と肉体派のヒーローたちがチームに分かれて戦います。勝つのはどちらのチームなのでしょう? とても楽しみですね」
解説「そうですね」
リングアナ「それでは出場選手をご紹介します。まずは頭脳派ヒーローチームからです。知的でスマート、いつも余裕のある振る舞いが魅力的な頭脳派ヒーローチームのメンバーはインテリ、眼鏡男子、策士、文官、魔術師、錬金術師となっております。ランバダさん、いかがでしょう?」
解説「勝負がバトルであることを考えた、実力重視のラインナップですね」
リングアナ「続いて肉体派ヒーローチームをご紹介します。頼りがいのあるスタイルとワイルドな魅力があふれる肉体派ヒーローチームのメンバーは消防士、レスキュー隊、自衛官、騎士、竜騎士、騎士団長となっております。さあ、こちらのチームはいかがですかランバダさん!」
解説「万全の布陣です。完璧なスターティング・オーダーと言っていいと思いますよ」
リングアナ「両チームの配置ですが……頭脳派ヒーローチームは前衛にインテリ、眼鏡男子、文官を置き、後衛に策士、魔術師、錬金術師が並んでいます。この陣形をどう見ますか?」
解説「前衛のインテリ・眼鏡男子・文官はスマートな体つきですが、実は細マッチョです。かなり鍛えていますから、肉体派ヒーローチームでも侮れません。手ごわいと思いますよ」
リングアナ「前衛での肉弾戦への備えは十分と言ったところでしょうか。後衛の策士、魔術師、錬金術師はどう見ます?」
解説「魔術師と錬金術師は、自分たちの得意な分野である魔術と錬金術を使ってくるでしょう。問題は、策士です。策士が何を企んでいるのか、誰にも読めませんよ」
リングアナ「さすがは策士ですね。それでは肉体派ヒーローチームの構えですが、前衛は自衛官、騎士、竜騎士、騎士団長、後衛は消防士、レスキュー隊となっております」
解説「フロントの四名は敵陣に突撃する構えを見せていますね。背後を守る消防士とレスキュー隊は、それぞれ自分たちの仕事をするのでしょう」
リングアナ「と、申しますと?」
解説「敵の魔術的な攻撃で火災が発生する恐れがあります。消防士は火災を迅速に消火します。負傷者が出たらレスキュー隊が出ます。このようにバックの守りが充実していますからね、これで安心して前の四人は戦えるわけです」
リングアナ「なるほど、肉体派ヒーローチームは優れた戦略を立てて戦いに臨んでいますね」
解説「そうです。頭脳派ヒーローチームのメンバーが肉体を極限まで鍛え戦いに備えたように、肉体派ヒーローチームは知略の限りを尽くして勝とうとしているのです」
リングアナ「そうなりますと、勝敗の行方は読めませんね」
解説「まったくです」
リングアナ「それでは試合のルールを説明いたしましょう。両チームが戦い、相手を降参させるか、最後まで戦場に残っていた方が勝ちとなります。細かい裁定はレフェリーが判断しますが、事前に決められたルールでは、頭脳派ヒーローチームは魔術と錬金術の使用を許される、とあります。つまり頭脳派ヒーローチームは、超自然的な力を使って戦うことができるわけで、これは大変に有利だと思われるのですが、解説のランバダさん、これはどうなのでしょうか?」
解説「その条件を呑む代わりに、肉体派ヒーローチームは同様にファンタジー世界的な能力を使用して良いことになりましたから、おあいこでしょう」
リングアナ「試合開始時刻が迫って参りました。レフェリーが時計を見て、ホイッスルを吹き、試合開始です。肉体派ヒーローチームの前衛四名が突進、対する頭脳派ヒーローチームが、それを受けて立ちますが、数的に不利ですね」
解説「いえ、よく見てください。後衛の錬金術師がゴーレムを召喚し、前方へ送り出しましたよ」
リングアナ「頭脳派ヒーローチームの錬金術師が早速ゴーレムを召喚しました。ゴーレムは強力な魔物です。これには、さすがの肉体派ヒーローチームも歯が立たないか?」
解説「いえいえ、そんなことはありません。ファンタジー世界の騎士、竜騎士、騎士団長は、ゴーレムと戦った経験がありますからね。彼らが相手をします」
リングアナ「ご指摘の通り、騎士・竜騎士・騎士団長のファンタジートリオがゴーレムと戦っています。ファンタジー世界的な能力を、こういう風に使うとは思いませんでした」
解説「ゴーレムの登場を予期していたのでしょうね」
リングアナ「ファンタジー勢が魔物ゴーレムと戦っている一方で、自衛官はインテリ、眼鏡男子、文官の三人と同時に戦っています。三対一という数的不利を感じさせない戦いぶりです。さすがですね!」
解説「劉備・関羽・張飛の三人と同時に戦った呂布を思い出します」
リングアナ「おや、頭脳派ヒーローチームの後衛に動きがありますよ……魔術師が呪文を唱えています。ああ、ファイヤーボールの魔法だ! 燃える火の玉ファイヤーボールが肉体派ヒーローチームに向かって飛ぶ! これを迎え撃つのは消防士だ! 手にしたホースから勢いよく水を出し、火の玉を消した!」
解説「見事な腕前ですね」
リングアナ「おや、ゴーレムの様子がおかしいぞ。ホースの水が掛かった部分が崩れた!」
解説「ゴーレムは泥から作られています。元々は泥人形、それを錬金術師が操っているのですが、本体は泥ですので、水が弱点なのです。大量の水を浴びると、硬さを失い崩れます」
リングアナ「たまらずゴーレムが後ずさりする。その隙を肉体派ヒーローチームは逃さない! 前進する、一気に攻撃だ! 頭脳派ヒーローチームは受けて立つが……相手に勢いがある、支えきれず、後退する!」
解説「肉体派ヒーローチームが俄然、優位になりましたね」
リングアナ「拮抗した戦いでしたが、ここにきて頭脳派ヒーローチーム、押されています。おっと、陣形が崩れた。総崩れだ!」
解説「全面撤退ですね。算を乱して逃げ出していますよ」
リングアナ「さあ肉体派ヒーローチーム、敵を追って、追って、追いかけるようです。追撃戦です」
解説「勝負を決めるつもりですね」
リングアナ「頭脳派ヒーローチーム、もはやなすすべなしか……あっとぉ! 追撃中の肉体派ヒーローチーム前衛が吹き飛んだぞ! 地面と一緒に、吹き飛んだ! これは、これは一体、どういうことなのでしょう!?」
解説「地雷ですね。罠です。策士が仕掛けた地雷の罠に引っかかったのです」
リングアナ「撤退したのも頭脳派ヒーローチームの作戦だったのでしょうか!」
解説「いや、それにしてはダメージが大きい。敗北必至の戦況を覆す最後の手段でしょう。五分五分の引き分けに持ち込むのが狙いだと思いますよ」
リングアナ「ランバダさんのご指摘の通りのようですね。肉体派ヒーローチームの猛攻撃で、頭脳派ヒーローチームのメンバーは大ダメージを受けました。もはや立っていることができず、座り込んだり倒れたりしています」
解説「肉体派ヒーローチームのメンバーも大怪我で動けませんよ」
リングアナ「ああっ! レスキュー隊の出動です! レスキュー隊が怪我人を救助しています。自らも怪我をしているのに、他の怪我人を助けています!」
解説「仲間の肉体派ヒーローチームだけでなく、敵である頭脳派ヒーローチームも助けていますよ。素晴らしいことです」
リングアナ「レスキュー精神の鑑のような行動ですね。レスキュー隊が最後の負傷者を担架に乗せ、戦場を後にします。審判団や観客全員が拍手で送っています」
解説「我々も拍手しましょう、パチパチ」
リングアナ「さあ、これで試合は終わったわけですが……勝敗はどうなるのでしょうか?」
解説「戦場に誰も残っていませんからね」
リングアナ「審判団が協議を始めました」
解説「審判団の判断を待ちましょう」
リングアナ「結論が出たようです。審判団長がマイクを握り、場内に説明します……引き分け、引き分けです!」
解説「最後に戦場を出たのは肉体派ヒーローチームのレスキュー隊ですから、レフェリーは最初、肉体派ヒーローチームの勝利を宣告しようとしたのですが、策士から物言いがついたのですよ。最後に担架に乗った自分も戦場に残っていた、と」
リングアナ「審判団は策士の言い分を認め、引き分けを宣告したのですね」
解説「策士の最後の悪あがきが、敗北を回避させたのです」
リングアナ「ランバダさんがおっしゃったように、策士の策が奏功しました」
解説「肉体派ヒーローチームは勝利の寸前までいったのですけど、惜しかったですね」
リングアナ「放送時間が無くなって参りました。ここで失礼させていただきます。解説のランバダさん、どうもありがとうございました」
解説「どうもありがとうございました」
リングアナ「これにて実況放送を終わらせていただきます。それではみなさん、さようなら」