逃げ道を探すには遅すぎた
逃げ道なんてない
「んっ……」

目を覚ますとそこは見慣れないベッドの上だった。天蓋付きのベッド。まるで、童話のお姫様にでもなった気分だ。おまけに着ているものもドレスからネグリジェに替えられている。

「ここは……」

ベッドから起き上がって周りを見る。お姫様みたいな調度品が並んだ広い部屋だ。大きな窓を見つけてカーテンを開ける。そこに広がっていたのは森だった。

「どこなの、ここ……」

驚いて後ずさると何かにぶつかってしまう。壁?振り返ると、そこにいたのはシャノンとウィリアムだった。

「シャノン、ウィリアム、ここはどこ?二人が私を連れて来たの?」

シャノンとウィリアムは笑みを浮かべている。その表情はいつも見かけるもののはずなのに、どこか怖い。思わず後ずさるとシャノンに素早く手を掴まれた。

「どこにももう行かせねぇ。お前はこの汚い世界の天使なんだよ」

「ここはメレディス家の所有する別荘の一つです。誰もここには来ません」
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