逃げ道を探すには遅すぎた
『あんた誰だよ?ここはどこだ?』

青い髪の男の子が少々乱暴な口調で言う。今この子が話しているのは日本語じゃない。英語だ。

『あの、勝手に家に入ってしまい申し訳ありません。ですが、ここがどこなのか教えていただけませんか?すぐに迎えを呼びますので』

金髪の男の子は恐る恐るといった様子で丁寧な言葉遣いで話す。この子も英語を喋っている。まあ、日本人でないことは見た目ではっきりとわかる。だけど問題はそこじゃない。

(この子たち、今時こんな格好で外を出歩いてるの?)

二人の着ている服の生地は、現代の服じゃ使われていなさそうなものだ。まるで博物館に展示されている歴史ある衣服みたい。それに、さっきからテレビやクーラーを見て『何だこれ』と驚いている。今時、テレビやクーラーを知らない子どもなんていないだろう。

『えっと……とりあえず言うべきは「初めまして」かな?二人はどうやってこの家の中に入ったの?私、鍵をかけていたはずだったのに……』
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