甘い恋にはお花をそえて
私の気を引くのはきれいなお花なのか、はたまたそこで働く素敵な男性なのか。
どちらにせよ、バイトに行くにも帰りにも一番気になっているお店はこのお花屋さんに違いない。

けれどお花にはまったくもって疎い私である。
花純(かすみ)という名前を親につけてもらったのに、お花に興味を持つことなく育ってしまった。
そんな私にとっては、お花屋さんでお花を買うハードルは高い。
素敵な店員さんに気後れもしている。

母の日だってカーネーションより、プレゼントするなら大福のほうが喜ぶであろう母を持つ。
血は争えないというか、私の母親らしい母親だ。
だからか父も母へのプレゼントに花束を用意するタイプでもない。

男の人からバラの花束をプレゼントされることに憧れたことはある。
でも今思えば、私の人生の持ち物の中に花瓶が存在していたことはない。

縁があるとすればお仏壇へやお墓参りで仏花を買うくらいだろうか。
それも量販店のお花屋さんでセットになったものを選んだことしかない私には、他のお花屋さんでの花を選ぶ正しい振る舞いすら謎である。
< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop