甘い恋にはお花をそえて
「あ、こんにちは!」
「あら、千尋くん!元気?」
「はい!」
お店のドアを開けたのは先日の店員さんで、先客だった女性客と顔を合わせると親しげに挨拶を交わした。
(千尋くん……か)
その光景をモブのように見つめて、思いがけず彼の名前を知った私は本人に聞いてもいないのにすぐに覚えてしまう。
なんだか申し訳ないようなちょっと得をしてしまったような複雑な気持ちだ。
そんな気持ちを抱えてぽけっとしていると、千尋くんは私の存在に気がついて「あっ……」と小さく声を零す。
目が合うと急に照れくさくなってしまった私に彼は「いらっしゃいませ!」と元気よく声をかけてくれた。
「お決まりでしたか?」
「あ……この、バラを一輪お願いします」
「かしこまりました」
そう言ってバラを選びながら「ピンク、お好きなんですか?」と問われた。
何気ない質問に「あ、はい!」とだけ短く答える。
「かわいいですよね。この前のガーベラもかわいいですけど、このバラも今日入ってきたばかりで」
「あ……」
初めてお店に立ち寄ってから一週間くらい間が空いていたのに、千尋くんの中にはそのときの私が残っている。
嬉しさと恥ずかしさが混ざって、でも改めて素敵な人だなと思った。
「あら、千尋くん!元気?」
「はい!」
お店のドアを開けたのは先日の店員さんで、先客だった女性客と顔を合わせると親しげに挨拶を交わした。
(千尋くん……か)
その光景をモブのように見つめて、思いがけず彼の名前を知った私は本人に聞いてもいないのにすぐに覚えてしまう。
なんだか申し訳ないようなちょっと得をしてしまったような複雑な気持ちだ。
そんな気持ちを抱えてぽけっとしていると、千尋くんは私の存在に気がついて「あっ……」と小さく声を零す。
目が合うと急に照れくさくなってしまった私に彼は「いらっしゃいませ!」と元気よく声をかけてくれた。
「お決まりでしたか?」
「あ……この、バラを一輪お願いします」
「かしこまりました」
そう言ってバラを選びながら「ピンク、お好きなんですか?」と問われた。
何気ない質問に「あ、はい!」とだけ短く答える。
「かわいいですよね。この前のガーベラもかわいいですけど、このバラも今日入ってきたばかりで」
「あ……」
初めてお店に立ち寄ってから一週間くらい間が空いていたのに、千尋くんの中にはそのときの私が残っている。
嬉しさと恥ずかしさが混ざって、でも改めて素敵な人だなと思った。