【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 自分の目が虚ろになっているのが分かった。もうこの病気のせいで私はいつか死ぬのだと感じていた。

「気休めにしかならないかもしれないが、このぬいぐるみを私たちだと思って耐えてほしい」

 三歳の子供に送るようなプレゼントを私は呆然と見ていた。そして、またポロポロと涙を溢すのだ。

「ごめんなさい……ごめんなさい……本当にごめん……」

 繰り返し謝る私の頭をお母さんが優しく撫でてくれる。

「なんで謝るの。病気は奈々花のせいじゃないわ。大丈夫。お母さんもお父さんも奈々花が大好きよ」

 幸せな家庭を壊したのは私なのに。迷惑をかけているのは私なのに。優しい言葉をかけてくれる両親がいる。私が病気に負けて諦めようとしているのに、ぬいぐるみを買ってきて治療法を模索してくれる。
 その両親を見た時にもっと自分に出来ることをしようと思った。このまま病気に負けて、ただ「寂しさ」に負けて、泣き喚いてるだけは嫌だった。
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