【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
「もう復活!マジで寝過ぎたわ」

 菅谷くんはいつも通りの雰囲気で質問にノリよく返事をした。

「あはは、マジで大丈夫かよ」
「ていうか菅谷、いつぶり!?」
「三ヶ月ぶりくらいじゃね!?」
「アホだろ。まだ五月の終わりだぞ」

 菅谷くんの友達は菅谷くんを囲むように笑っている。その見慣れた光景をもう一度見れることが嬉しかった。

「で、菅谷って何で倒れたの!?熱中症?」

 その問いに菅谷くんは一瞬だけ固まったが、何を答えるか決めてきているようだった。

「熱中症じゃないけど、ちょっと寝不足もあって暑くて倒れたっぽい」
「うわ、やば。寝不足って大丈夫なん?」
「勉強しすぎたわ」
「嘘つけ!」
「あはは、バレた?ゲームしすぎたわ」
「馬鹿だろ!」

 友達に囲まれている菅谷くんを見ていると、私の席に草野くんが近づいてくる。

「菅谷、学校来れてよかったな」
「うん」
「川崎さんも色々ありがと」

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