【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
草野くんのお礼に私はうまく返事が出来ない。きっと草野くんは菅谷くんにお見舞いに行っていいか私が代わりに聞いたことに対してお礼を言ってくれている。だけど私は草野くんに病気のことを秘密にしたまま、一人で菅谷くんに会いに行った。それは「頻発性哀愁症候群」の私と菅谷くんの二人の秘密。それがどこか心苦しく感じたが、この秘密を明かすわけにはいかなくて。
「川崎さん?」
「あ、ごめん。何でもない」
草野くんは友達に囲まれている菅谷くんの方を見ていた。
「草野くんは菅谷くんのところ行かないの?」
「うーん、今は他の友達に囲まれてるから。次の休み時間にでも声をかけるよ」
「そっか」
菅谷くんに視線を向けてそう話す草野くんが少しだけ大人びて見えた。
その時、川北先生が教室に入ってきて「ホームルーム始めるぞー」と呼びかけると生徒がぞろぞろと席に座り始める。
「じゃ、また。川崎さん」
草野くんがそう言って、自分の席に戻っていく。私はもう一度菅谷くんに視線を向けると、菅谷くんはもう自分の席に座っていた。
「川崎さん?」
「あ、ごめん。何でもない」
草野くんは友達に囲まれている菅谷くんの方を見ていた。
「草野くんは菅谷くんのところ行かないの?」
「うーん、今は他の友達に囲まれてるから。次の休み時間にでも声をかけるよ」
「そっか」
菅谷くんに視線を向けてそう話す草野くんが少しだけ大人びて見えた。
その時、川北先生が教室に入ってきて「ホームルーム始めるぞー」と呼びかけると生徒がぞろぞろと席に座り始める。
「じゃ、また。川崎さん」
草野くんがそう言って、自分の席に戻っていく。私はもう一度菅谷くんに視線を向けると、菅谷くんはもう自分の席に座っていた。