【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 川辺に戻ると、先ほど見つけた二つのベンチに四人で座る。それぞれのお昼ご飯を食べ始めた。

「にしても暑くね?まだ6月だぞ」
「もう6月の間違いだろ」
「確かに。ていうか、この冷やし中華うま!」
「まじ?今度、俺も食べてみよ」
「この後、どうする?なんかしたいことある人いる?」

 草野くんの問いに美坂さんが何かをスマホで調べてから、私たちに画面を見せてくれる。

「近くの美術館でトリックアート展がやってるんだけど、もし良かったら見に行かない?」

 美坂さんの見せてくれている画面には「トリックアート体験を楽しもう」と書かれたホームページが表示されている。草野くんが「良いじゃん!」と言いながら、美坂さんと一緒にスマホの画面を見ている。私と菅谷くんも美坂さんの案に賛成だった。

「じゃあ、ここにしよ!調べた感じバスで行けば、乗り継ぎなしで行けそう」

 美坂さんがそう言って、バズの時間も調べてくれる。

「あ!あと15分でバス出発する!急いで食べよ!」

 美坂さんの言葉に私たちは終わりかけの昼食をすぐに食べ切り、バス停に向かった。バス停に着くと丁度バスがやってくる。
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