【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 先ほどまでの楽しかった余韻が抜けきらない感じがする。でもぬいぐるみを握りしめたいような、いつもの症状ではなくて……なんて言ったらいいのか分からないけれど、嫌な寂しさじゃなかった。

 家に帰ると、オリエンテーションの時のようにすぐにお母さんがリビングから出てくる。でもオリエンテーションの時と違って心配そうではなくて、私がと出かけたことが嬉しいようだった。

「おかえり」

 お母さんの「おかえり」にどこか安心して、私はいつも通り「ただいま」と返した。
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