【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
十八章

 それからの一ヶ月くらいはとても早く感じて、いつの間にか教室で放課後に聞こえる会話が変わっていく。

「菅谷、今日も部活?」
「おう」
「マジか、土曜は遊べそう?」
「土曜も部活だわ」
「サッカー部忙し過ぎね!?」
「あはは、やべーよな」

 菅谷くんは放課後、すぐに草野くんと部室に走って行く。放課後に校庭ではサッカー部の声が響いていた。
 窓の外を見ればユニフォームに着替えた菅谷くんと草野くんが校庭を走り始めていた。クラスメイトが帰って誰もいなくなった教室で一人の私だけ文字通り取り残されたようだった。

「川崎」

 名前を呼ばれて振り返ると担任の川北先生が教室の扉の所に立っている。

「帰らないのか?もう皆んないないぞ」
「あ、すみません。すぐに帰ります」

 私は急いでスクールバッグを肩にかけようとする。

「最近どうだ?」

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