【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 一応試合は小雨決行なので、周りの人たちが屋根のあるこちら側に座り始める。しかし、その時一気に雨が強まったのが分かった。周りの人たちがスマホで天気予報を確認しながら話している。

「これ中止じゃない?」
「そうかもな。ちょっと連絡が来るまで中に入ってるか」

 何人かがサッカー場の施設の中に入っていく。雨はそのまま10分ほど強く降り続けていると、会場のアナウンスがなった。

「本日行われる試合についてですが、天候を考慮した結果中止する方向で……」

 アナウンスで中止をいう言葉を流れた瞬間、外に残っていた人たちも一気に立ち上がって帰っていく。私はとりあえず美坂さんに中止の連絡を送った。

「菅谷くんたち、大丈夫かな……」

 草野くんも菅谷くんも楽しみにしていたのでショックだろう。試合は延期になるのだろうか?
 アナウンスを聞く感じまだ決まっていなそうだったけれど。私はスマホで帰りの電車の時間を調べてみると、丁度20分後に発車の電車がある。この場所から駅までの時間も歩いて約15分。しかし傘を持ってきていないし、駅までバスで行った方がいいだろう。

「バスの時間は……え!」

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