【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
バスは丁度発車した後で、次のバスは30分後になっている。電車の時間ともうまく合わないが、一旦30分後のバスに乗って駅まで行くことにした。その時、スマホの画面に上からピコンとメッセージが表示される。
「川崎さん、ごめん!試合雨で中止になった。もう来てる?」
菅谷くんからのメッセージだった。
「大丈夫!丁度、車で着いた所だからそのまま帰るね」
嘘をつくのは心苦しかったが、試合が中止になって一番辛いのは菅谷くん達でそんな時に気を遣わせたくなかった。私は誰もいなくなった野外から、すぐに施設の中に入った。
丁度入り口付近にベンチがあったので、そこに座って携帯で時間を潰すことにした。雨の音が施設の中まで聞こえてくる。先ほど施設の中に入って行った別の観客たちももう帰ったようで、雨の音だけしか聞こえないのがどこか寂しかった。
誰もいない施設で一人、また症状が顔を出すのだ。
寂しい。
馬鹿みたい。症状が出ないように朝にお願いしたのに。
「願うだけで叶うなら、みんな願って終わりになっちゃうか……」
「川崎さん、ごめん!試合雨で中止になった。もう来てる?」
菅谷くんからのメッセージだった。
「大丈夫!丁度、車で着いた所だからそのまま帰るね」
嘘をつくのは心苦しかったが、試合が中止になって一番辛いのは菅谷くん達でそんな時に気を遣わせたくなかった。私は誰もいなくなった野外から、すぐに施設の中に入った。
丁度入り口付近にベンチがあったので、そこに座って携帯で時間を潰すことにした。雨の音が施設の中まで聞こえてくる。先ほど施設の中に入って行った別の観客たちももう帰ったようで、雨の音だけしか聞こえないのがどこか寂しかった。
誰もいない施設で一人、また症状が顔を出すのだ。
寂しい。
馬鹿みたい。症状が出ないように朝にお願いしたのに。
「願うだけで叶うなら、みんな願って終わりになっちゃうか……」