【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
二十章
 土曜日。その日は天気予報も晴れ予報だったが、朝カーテンを開けると日差しが眩しいくらいの快晴だった。
 前と同じように鏡の前で服装と髪型をチェックして、枕元のぬいぐるみを手に取る。いつも通り「寂しくないよ」と心の中で自分に言い聞かせた。
 時間はまだ余裕があったが、準備も終わってしまったので早めに家を出ることにした。駅までの道のりは晴れていて、むしろ暑いくらい。じんわりと汗が滲んでいたが、電車の中は涼しくてホッと心が落ち着いたのが分かった。
 サッカー場に着いた後、美坂さんに「着いたよ」とメッセージを送ると、すぐに美坂さんから「中の休憩所にいる!」と返信が返ってきた。
 施設の中にある自販機とベンチが置いてある小さな休憩所に向かうと、美坂さんが私に気づいて立ち上がった。

「川崎さん!」

 美坂さんはロングTシャツとジーンズのファッションで涼しそうだった。ロングTシャツの形が可愛くて、カジュアルになり過ぎずに美坂さんによく似合っている。

「もうそろそろ席取っておこ!川崎さん、飲み物買わなくて大丈夫?」
「水筒持ってきてるから。美坂さんは?」
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