【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
二十一章
「最近どうですか?」
病院の診察室で私は担当医にそう聞かれていた。症状が落ち着いてからは病院は二ヶ月に一度ほどのペースだったので、久しぶりな感じがする。担当医は聞かれたくないことを深くは聞かない人だったので、いつも安心して話すことが出来た。
「最近はサッカー部の練習試合を見に行くことがあって……」
私はポツポツと出来事を話していく。前に来た時より話すことが多くて、何より話す内容が明るいことだったのが嬉しかった。
診察が終わって、受付の近くで待っているといつも気さくに話けてくれる看護師さんが通りかかった。
「奈々花ちゃん!診察は終わったの?」
「はい」
「最近どう?何かあった?」
看護師さんの言葉に私は担当医にも話したサッカー観戦のことを伝えた。
「あら、いいわね!私も結構サッカーを見るのが好きなの」