【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 出来るだけ暗くならないようにそう言うと、木下先生が「そうよね。まずは気楽に描いてね」と言ってくれる。
 あらかた部室の説明と終えた後に、題材などを教えてくれた。

「今は好きな風景を描いてる部員が多いの。でも、別に風景じゃなくてもいいわ。まずは好きなものを描いて」
「絵をしっかり描くのも中学校以来なので、まずは部室の風景を練習で描いてもいいですか?その後に好きな風景を探したくて……」
「もちろん。絵を完成させるペースは人それぞれだから、ゆっくり描いて欲しいくらい」

 前に美坂さんが言っていた通り、部員も多くなくてそれぞれのんびりと絵を描いているようだった。

「他に何か聞きたいことはある?」
「いえ、ありがとうございました」

 私の説明を終えると木下先生は他の部員に呼ばれて、その部員の絵を見ながら楽しそうに話している。美坂さんが席に戻りながら私の方を振り返った。

「川崎さん、じゃあこれから一緒に頑張ろ!」
「うん、ありがと」

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