【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
・高校を無事卒業すること

 私は二つ目の目標を黒のマジックで塗りつぶした。きっと相手に一切迷惑をかけずに友達でいることは出来ない。
 残り二つになった目標をもう一度読み直す。この二つの願いがいつか叶いますように。私はそう願って、メモ帳を閉じた。


 下絵が完成したのは、一週間後だった。始めに書いた構図に納得がいかず、先にキャンバスではなく画用紙に構図をまとめてから描いたので時間がかかってしまった。
 下絵が終わってからは、基本的に写真を見ながら部室でアクリル絵の具を塗ることにした。アクリル絵の具を塗っていると、木下先生が私の絵を見に来てくれる。

「川崎さん、もう描き始めたのね。上手……!でもここはもう少しこうした方が……」

 木下先生が美術の先生でもあるので、アドバイスをくれる。

「そういえば川崎さんはまだコンテストに出さないって言ってたわよね?」

 木下先生の言葉に私はすぐに言葉が返せない。隣の席に座っている美坂さんも話が聞こえたのか会話に入ってくる。

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