【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
看護師さんの言葉に私は「えっと……」とすぐに言葉を返せない。なんとか「今のところ出す予定はなくて」と答えた。
「そうなの。こんなに上手なのに。私、この絵『大好き』よ」
自分の描いた絵を誰かに「大好き」と言ってもらえる人は一体どれだけいるのだろう。この人生の楽しみがある人はきっとそんなに多くない。
「……出してもいいと思いますか……?」
私の震えて声の質問に看護師さんは何かあると分かったようだった。そして、分かった上でニコッと笑った。
「あら、私は出すだけタダだと思うわよ?」
そうわざと軽く返してくれたのは、看護師さんの優しさだろう。私は病院からの帰り道、ずっとコンテストのことを考えていた。
ずっとコンテストが怖かった。中学の頃のようになってしまうのが怖かった。でも、気づかないうちに私はもう成長していて。そのことに気づけた今なら、もっと前に進める気がする。
家に帰った私は菅谷くんに「電話していい?」とメッセージを送ると、菅谷くんは「全然大丈夫」と返してくれた。
「菅谷くん、あの絵、コンテストに出そうと思う」
「そうなの。こんなに上手なのに。私、この絵『大好き』よ」
自分の描いた絵を誰かに「大好き」と言ってもらえる人は一体どれだけいるのだろう。この人生の楽しみがある人はきっとそんなに多くない。
「……出してもいいと思いますか……?」
私の震えて声の質問に看護師さんは何かあると分かったようだった。そして、分かった上でニコッと笑った。
「あら、私は出すだけタダだと思うわよ?」
そうわざと軽く返してくれたのは、看護師さんの優しさだろう。私は病院からの帰り道、ずっとコンテストのことを考えていた。
ずっとコンテストが怖かった。中学の頃のようになってしまうのが怖かった。でも、気づかないうちに私はもう成長していて。そのことに気づけた今なら、もっと前に進める気がする。
家に帰った私は菅谷くんに「電話していい?」とメッセージを送ると、菅谷くんは「全然大丈夫」と返してくれた。
「菅谷くん、あの絵、コンテストに出そうと思う」