【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
二十五章
数日後、私は最後の仕上げで細い筆を持っていた。気になったところを直していく。
最後にキャンバスから少し離れて自分の絵を見てみると、もう手直ししたいところは残っていなかった。
「完成……」
私がそう呟いたのを聞いて、美坂さんが立ち上がった。
「出来たの……!?見ていい?」
「うん」
私の絵を美坂さんがじーっと静かにしばらく見ていた。
「うん、めっちゃ素敵!私、やっぱり川崎さんの絵が大好き」
美坂さんが子供のように、はしゃいでいるのが可愛かった。
「今日の部活が終わったら、菅谷くんと草野くんを呼んでもいい?絵を見せたくて……」
「もちろん!モデルの二人だし」
「じゃあ、部活終わり呼ぶね」
「うん。私も一緒に残ろっと」
美坂さんの言葉に私はつい嬉しくなってしまう。四人が揃うのは、夏休みが始まってから初めてだから。それから部活が終わるまでの時間は、いつもよりずっと長く感じた。
部活が終わて他の部員が帰った後に、すぐに菅谷くんと草野くんに連絡を送った。わずか5分ほどでパタパタと廊下から走ってくる足音が聞こえてくる。
「絵が完成したの!?ていうか、この部屋涼し!」