【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 人気(ひとけ)の少ない海の近くでバスから降りると、生徒たちが次々と海の方向へ走っていく。

「えー!綺麗すぎる!」
「やば!青春じゃん!」
「俺、もう入りたいんだけど!」

 そんな興奮している生徒達に先生が大きな声で集合をかける。

「はーい、全員集合ー!まずはクラスごとに出席番号順に整列ー!」

 ゾロゾロと生徒達が整列を終えると、先生がオリエンテーションの説明を始めていく。

「まず事前に決めた班ごとにゴミを集めていって、二時間後に昼休憩も兼ねて近くのキャンプ場でカレー作りを行う。午後からはまたこの場所に戻って30分ほど作業した後、しばらく自由行動にしようと思っている」

 先生の自由行動という言葉に生徒達から嬉しそうな声が上がる。隣のクラスの男子が手を挙げて、大きな声で質問をした。

「自由行動の時は、海に入ってもいいんですかー!」
「お前、まだ四月だぞ……まぁ、個人の判断で足をつけるくらいは良いか」

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