【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
「実は俺、めっちゃ料理下手なんだよね……カレー作り絶対戦力になれねぇ。あ!でも、代わりにゴミ拾いは任せて!どんな重いもんでも持つから!これでも中学からサッカー部だし、運動は得意!」

 草野くんの可愛い宣言に私と美坂さんは笑ってしまう。すぐに慌てて笑顔を抑える私とは違って、美坂さんはそのまま草野くんと話している。

「美坂さんって、もう部活入ってる?」
「うん、入部は一応終わったよ。美術部。まだ活動は始まってないけど。だから私は逆でゴミ拾いで役に立たないかも」
「そこは俺に任せて!代わりにカレー作りお願いします!」

 美術部……その言葉に胸がドクッと速なり始めたのが分かった。理由は分かるようで、でもどこか認めたくなくて。

「おい、草野。俺には謝らねーの?」
「いや、どう考えても菅谷は俺と一緒で料理出来ねーだろ」
「おい!偏見やめろ!」
「じゃあ、料理出来んの?」
「あんま出来ねーけど……」
「あはは、やっぱ菅谷は菅谷だな」
「草野と違ってたまにはするから!ていうか草野だけには言われたくねー」
「ていうか、菅谷って高校ではサッカー部入らねーの?」

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