【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した

 草野くんの呼びかけで私たちも先生のところに向かい始める。私はそんな皆んなの二メートルほど後ろを歩いていた。

「川崎さん?」

 遅れている私を菅谷くんが振り返り、私と歩幅を合わせてくれる。私は慌てて「ごめん!」と謝り、美坂さんと草野くんの隣まで菅谷くんと一緒に早歩きで追いつく。
 どこか隣を歩けないほど眩しく感じた三人の隣は、歩いてしまえば普通に歩けてしまった。
 そんな私に菅谷くんがコソッと小声で声をかけた。

「川崎さん、体調大丈夫?」
「あ……うん、大丈夫。菅谷くんは?」
「俺も全然大丈夫」

 菅谷くんは、「大丈夫?」と聞かれたら「大丈夫」と返すのが癖になっているような言葉の返し方だった。それでも、自分が辛くても無理をする菅谷くんは、当たり前のように私を気遣ってくれる。
 私の病気を知らなくても、入学式の日のことで私に何か病気があることは勘づいているのだろう。
 先生の元に私たち四人が集合する頃には、ほとんどの生徒が集まっていた。

「じゃあ、人数確認を始めます」

 先頭の生徒が列の人数を数えて先生に報告に向かう。

「よし!全員揃っているな」

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