【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 私の潤んだ目を見て、菅谷くんが慌てている。そんな菅谷くんに保健室の先生は優しく呼びかけた。

「あとは先生に任せて菅谷くんは班のところに戻りなさい。先生を呼びにきてくれてありがとう」

 先生の言葉に菅谷くんが班のところに戻ろうとする。私は慌てて菅谷くんを呼び止めて、お礼を言った。

「あの、菅谷くん……!本当にありがとう……!」
「全然。カレーのことは気にしなくていいから、ゆっくり休んで」

 そう言って、菅谷くんは走って行ってしまう。菅谷くんが離れるとすぐに保健室の先生が近寄ってくれる。

「川崎さん、大丈夫?川北先生から話は聞いているわ。すぐに別室に移動しましょう」

 先生に連れられるまま、私は屋内の別室に移動する。簡易ベッドに横になった私を、先生はカーテンを閉めながら心配そうに見ている。

「ここならご両親に電話してもいいけれど、どうする?もしその方が症状が(おさ)まるなら……」
「大丈夫です。少しここで休ませてもらえるだけで……」
「そう。じゃあ、私もすぐ近くにいるからゆっくり休んでね」

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