【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 そう言って、先生はカーテンを閉めてくれる。お母さんに電話をすれば症状は治まりやすいかもしれないが、心配をかけて「迎えにくる」と言いかねない。それに大分症状も治まり始めていた。
 私は、ポケットからもう一度ぬいぐるみを取り出した。ぬいぐるみをギュッと握っていると、自然に少しだけ眠たくなってくる。
 気づけばそのまま私は一眠りしてしまっていた。

 
 「ん……」

 パッと目を覚ました私は、慌ててカーテンを開けて先生に問いかける。

「すみません、今、何時ですか?」
「今?まだ1時半よ?」

 深く眠っていたように感じたが、実際は30分ほどしか眠っていなかったようだった。

「あの、体調はもう大丈夫なので戻ります」
「あら、もう大丈夫なの?」
「はい、少し寝たら治ったので……」
「そう、また何かあったらいつでも言って」

 私は保健の先生にお礼を言った後に、班のところに戻る。丁度、カレーを作り終わってみんなでテーブルで食べている所だった。

「あ、川崎さん!」

 私がテーブルに近づくと、三人が立ち上がって近寄ってきてくれる。

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