【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 菅谷くんが来るまでまだ時間はかかると分かっているのに、私は気づいたらすぐに家を飛び出していた。

 公園につくと、日陰に置かれているベンチに座る。スマホで時間を潰しながら菅谷くんを待とうと思っていたのに、ス集中出来なくて画面を閉じてしまう。
 どこか心が落ち着かないまま菅谷くんを待っていると、私が思っていたより早く菅谷くんが公園に走ってくる。私はすぐに立ち上がって菅谷くんの元へ駆け寄った。

「ごめん、川崎さん!待った?」
「全然待ってないよ。走ってきたの?」
「そんなに走ってないよ」

 そんなに走っていないという菅谷くんの額や首には汗が流れてきている。きっといつも通り相手を気遣って嘘をついてくれている。
 菅谷くんは走って乱れている息を整えながら、私の座っていたベンチに腰掛ける。

「……川崎さんも座ろ。急に呼び出してごめん」
「ううん、全然」

 菅谷くんの隣に腰掛けたが、上手く言葉が出てこない。菅谷くんは少しだけ私の顔に視線を向けた後、ゆっくりと今日のことを話してくれる。

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