【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 菅谷くんの周りに人が集まり始める。クラスの3分の2ほどが参加するようだった。その時、菅谷くんと目が合った。
 菅谷くんが私と目を合うと、何故か近づいてくる。

「川崎さんも来る?」
「わ、私は……」

 参加したいが、絶対に参加するわけにはいかない。だって、私は入学するときに決めたから。

【周りの人に絶対にこれ以上迷惑はかけないと】

 私と関われば、絶対に不幸になる。寂しがり屋の私は、きっと仲良くなった人に依存してしまうかもしれない。それだけは絶対に避けないと。

「ごめん、用事があって……」
「そっか、残念。じゃあ、また今度遊びに行こうぜ」
「うん、ありがとう」

 今度はきっと訪れない。私はまだこの病気と上手く付き合えていない。クラスの中心に戻っていく菅谷くんの後ろ姿を無意識に目で追ってしまう。
 私は菅谷くん達が出て行った後の教室の扉をしばらくぼーっとと見つめていた。
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