【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
十章
 どれだけ菅谷くんの心配をしても、私の症状も酷くて私のことだけで手一杯になってしまう。そんな自分が歯痒いのに、実際私が菅谷くんに出来ることなんてなくて。
 次の学校の日も、私はクラスの中心で笑っている菅谷くんを目で追うことしか出来ない。

「今日の五限はオリエンテーションの振り返りだから覚えておくように」

 朝のホームルームで先生が今日の予定を説明していく。その日の昼休みも菅谷くんは沢山の友達に囲まれていた。

「なぁ菅谷、今日の放課後遊ばね?」
「何すんの?」
「決まってない。ていうか今月お小遣いピンチなんだよな」
「俺もー」

 明るくて優しい菅谷くんはまさに理想の高校生だろう。でも、きっと今の菅谷くんは心のどこかで症状を我慢しているのかもしれない。
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