【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 いつも通りの菅谷くんを見ると、昨日の出来事が嘘のように感じてしまう。

「じゃあ、この欄は協調性の大切さを上手く文章にする感じでおっけー?」
「上手くってなんだよ」
「なんか分からねぇけど上手くだよ!菅谷頼んだ!」
「やだよ、草野が書けよ」
「俺、国語の新入生テスト、下から二十番には入るぞ」
「頭わる!」
「黙れ、菅谷!」

 菅谷くんと草野くんが言い争っているので、見兼(みか)ねた美坂さんが「私が書こうか?」と名乗り出てくれる。

「え、いいの?美坂さん、もしかして国語得意?」
「国語が得意ってわけじゃないけど、字は綺麗な自信ある……!」

 美坂さんはわざと冗談めかして、草野くんと菅谷くんが頼みやすいように話してくれる。美坂さんだけに頼むのが申し訳なくて、つい「私も手伝ってもいい……?」と言ってしまう。

「いいの!?じゃあ、この欄は私と川崎さんで書こ。菅谷くんと草野くんは次の欄の『一番印象に残った出来事』を考えておいて貰ってもいい?」
「おう」

 菅谷くんと草野くんが次の欄に何を書くかを笑いながら話している横で、美坂さんと提出用の紙に内容をまとめて書いていく。
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