【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
十二章
 不安な気持ちが膨らむまま、高校に行ってもその日は菅谷くんはお休みだった。クラスのみんなは倒れた翌日なので、あまり不思議に思っていないようだった。

 それでも、翌日もその次の日も、菅谷くんは高校に来なかった。

「菅谷、大丈夫かな?今日で休んで三日目だろ?」
「倒れたんだし仕方ねーだろ」
「明日は来るかな?」
「来週までは少なくとも厳しいんじゃね?」

 そんな声が聞こえる教室で私はそっとスマホを開いた。昨日の夜、班のグループにも個人のトークルームにも菅谷くんから返信が来た。
 班のグループには、「大丈夫!心配かけて悪い。でもしばらくは安静にして休むかも!」と送られていた。草野くんと美坂さんは菅谷くんから返信が来たことに安心したようだった。草野くんは「お見舞い行くか!?」と明るく返している。
 菅谷くんはクラスの友達にも同じようなメッセージを送ったらしく、先ほどの男子生徒の会話にもう一人加わっている。

「菅谷、しばらく休むらしいぞ。安静にするって。昨日メッセージ来た」
「マジ!?しばらくってどのくらい!?」
「知るか!」

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