【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
翌日の菅谷くんとの約束は10時だった。前と同じ公園で会おうと菅谷くんは言ったが、菅谷くんの体調が心配だった私は「菅谷くんの家にお邪魔出来るなら、私が会いにいくから菅谷くんは家で休んでいてほしい」と送った。
10時の約束なのに、目が覚めて時計を見ると6時を指している。
「もう一眠りしようかな……」
しかし、気持ちがどこか落ち着かなくてもう一度目を瞑っても眠れる気がしない。
ふと、昨日のテレビの番組を思い出してしまう。
「頻発性哀愁症候群は先天性と後天性があります。後天性の場合は何らかの出来事などで発症する場合があり……その出来事は本人にとって印象に残ることが……」
思い出したくなくても、ただベッドで目を瞑っているだけの今の状態では嫌でも記憶が蘇る。
小さい頃から絵が好きだった。当たり前のように中学の部活は美術部を選択した。
「え!奈々花ちゃん、絵上手くない!?」
「それ思った!」
優しい部員に囲まれて、ただ絵を描ければそれで良かった。それでも、私が入っているのは美術「部」でコンテストにだって出さなくてはいけない。
10時の約束なのに、目が覚めて時計を見ると6時を指している。
「もう一眠りしようかな……」
しかし、気持ちがどこか落ち着かなくてもう一度目を瞑っても眠れる気がしない。
ふと、昨日のテレビの番組を思い出してしまう。
「頻発性哀愁症候群は先天性と後天性があります。後天性の場合は何らかの出来事などで発症する場合があり……その出来事は本人にとって印象に残ることが……」
思い出したくなくても、ただベッドで目を瞑っているだけの今の状態では嫌でも記憶が蘇る。
小さい頃から絵が好きだった。当たり前のように中学の部活は美術部を選択した。
「え!奈々花ちゃん、絵上手くない!?」
「それ思った!」
優しい部員に囲まれて、ただ絵を描ければそれで良かった。それでも、私が入っているのは美術「部」でコンテストにだって出さなくてはいけない。