【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
「奈々花ちゃん、また賞取ったの!?」
「凄くない!?」

 周りからの嫉妬はなかった。中学は部活が強制で、絵が好きじゃなくても運動が嫌いで美術部に入る生徒も多かったから。
 周りが楽しそうにおしゃべりをしながらゆっくりを絵を完成させていく中、私だけコンテストに追われるようになった。

「川崎さん、次はこのコンテストを……」

 私が気づいてないだけで、誰も私に期待なんてしていなかったのかもしれない。うん、きっと多分誰も本気で期待なんてしてなかった。
 私が勝手に自分が出してきた結果にプレッシャーを感じるようになっただけ。

 馬鹿みたいだけど、誰かに褒められたかっただけ。

 それほどまでに私は幼かった。中学生という難しい時期に私は「他人の評価」を求めてしまった。
 段々とどうやって絵を描いていたのか分からなくなっていく。

「奈々花ちゃん、今日の放課後遊ばない?」
「ごめん!今日はもうちょっと今書いている絵を進めたくて……!」
「あれ、今日部活休みじゃなかったっけ?」
「そうなんだけど……ちょっと家でも描こうかなって!」

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