【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
 一つのことだけで視界がいっぱいになっていく。焦れば焦るほど評価は出ないのに、周りの部員とは(あいだ)が空いていく。

「奈々花ちゃん最近ノリ悪くない?」
「元からでしょ」




「一人で絵を描くのが好きなんじゃない?」




 壊れかけるには十分な言葉が部室から聞こえてきても、当たり前だけどもう過去に戻ってやり直すことは出来なかった。
 焦って描いた絵で結果が出るわけがない。他の部員が帰った後も、一人残って下校時刻ギリギリまで作品制作を進めていた。そんな「頑張っている自分」に酔っていたのかもしれない。
 集中して近づいて描いた絵を離れた場所から見ると、全然良い作品ではなかった。まるで今の私みたいで。

 そのことに気づいた瞬間、その感情は急に私を襲ってきた。



 寂しい。



 その感情に振り回されていく。



 寂しい。



 周りと距離が出来てから、初めてそのことに気づくのだ。そして、意識し始めた「寂しい」という感情は、段々と大きくなっていく。
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