【長編】寂しがり屋たちは、今日も手を繋いだまま秒針を回した
「学年集会の時、症状が出て……いつもより酷くて、無理やり耐えても呼吸が荒くなって……視界が歪んだと思ったら、もう倒れてた」

 菅谷くんはオリエンテーションの夜に会った時と同じで顔を上げなかった。

「病院で目が覚めた時、馬鹿みたいだけど安心したんだ。ああ、もういっかって。もうどうでもいいやって。自分が自分を諦めたことに(ひど)く安心した」

 菅谷くんが今どんな気持ちで話しているか想像するだけで涙が頬を伝っていく。



「ねぇ、川崎さん。俺、死んでもいい?」



「菅谷くん!」



 気づいたら、私は大きな声で菅谷くんの名前を呼んでいた。なんて声を掛ければいいかも分からないくせに。

「ごめん、冗談。本当に俺、何言ってるんだろ」

 いつも無理をする菅谷くんが無理を出来ないほどに壊れかけている。いや、もう壊れているのかもしれない。
 私も寂しさでおかしくなって死にたくなる時はある。それでも、人にそう言ってしまったことはなかった。どうしよう、本当に菅谷くんが壊れてしまう。
 焦っても言葉は出てこなくて。

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