日々、アオハル
𓂃◌𓈒𓐍
『高校生活は1日1日を大切に』
私はこの言葉を、2人のお兄ちゃんたちから洗脳のように擦り込まれてきた。
社会人1年目のお兄ちゃんは「高校の頃に戻りたい」と口癖のように言っているし、大学2年生のお兄ちゃんは、高校の頃よりも自由で楽しそうなのに「なんだかんだで高校が1番楽しかった」と時折ぼやいている。
早く卒業して、早く大学生になって、早く大人になりたいと思っていた1年生の頃の私は、お兄ちゃんたちの言葉がよく分からなかった。
今年の5月、お世話になった3年生の引退が決まった時。家に帰ってからもしばらく泣きじゃくっていた私を慰めながら、お母さんは「青春だね」と言った。
「高校生の頃ってキラキラした青春がたくさん詰まってたんだなあ、って大人になってから気付くことが多いの。今ひなが感じてる悲しいとか悔しいとか、そういう苦い感情もぜーんぶ、青春の1つなんだよ?マネージャーとして一生懸命頑張ってるひなは毎日キラキラしてて、お母さんにはすっごく眩しく見える。そんなひなが羨ましいなあっても思うの。だって、お母さんもお父さんも、お兄ちゃんたちも、もうあの頃のキラキラを味わうことができないから。だから楽しいことだけじゃなくて、苦しい経験も大切にしていかないとね。ひなにはまだまだたくさんの青春が待ってるよ」
お母さんの言葉は私の心にすとんと落ちた。
私が何気なく過ごしていた毎日は、たくさんの青春がつまった尊いものなんだと。
大人になった自分が後悔しないように、戻りたくても戻れない毎日をもっと大切にしようと。