日々、アオハル

外へ出るともうだいぶ日が落ち始めていた。


辺りが薄暗くなるにつれて、空気も冷たくなっていく。頬や指先にひんやりとした風が乗った。


パークタウンの敷地内には期間限定で ''光のロード'' というエリアが用意されている。50mほどの距離がある光のロードはランタンやイルミネーションで装飾されており、写真で見るだけでもその綺麗さは圧倒的。


「柊くんって、もしかして寒いの苦手?」

「うん。めちゃくちゃ苦手」

「ふふ。やっぱり」


まだ点灯前の光のロードを、横並びになりながらゆっくりと歩く。


「昔から寒さには弱いんだよね。季節の中だと冬が一番苦手」

「ああ、分かるかも。寒いのっていやだよね」

「うん。けど、今は寒くても平気」

「どうして?」


横を見上げると、柊くんは白い息を吐いていた。正面を向いていた顔がこちらへ向けられる。


「羽森さんと一緒にいるから。寒さも気にならないくらい楽しい」


柊くんの言葉に思わず目を見開いた。薄暗いせいで、顔半分をマフラーに埋めている柊くんの表情まではよく見えない。


「私も、すごく楽しいよ」


見上げながら頬を緩ませた、その瞬間。光のロードを囲む木々たちがぱあっと光を放った。
< 123 / 186 >

この作品をシェア

pagetop