日々、アオハル
外へ出るともうだいぶ日が落ち始めていた。
辺りが薄暗くなるにつれて、空気も冷たくなっていく。頬や指先にひんやりとした風が乗った。
パークタウンの敷地内には期間限定で ''光のロード'' というエリアが用意されている。50mほどの距離がある光のロードはランタンやイルミネーションで装飾されており、写真で見るだけでもその綺麗さは圧倒的。
「柊くんって、もしかして寒いの苦手?」
「うん。めちゃくちゃ苦手」
「ふふ。やっぱり」
まだ点灯前の光のロードを、横並びになりながらゆっくりと歩く。
「昔から寒さには弱いんだよね。季節の中だと冬が一番苦手」
「ああ、分かるかも。寒いのっていやだよね」
「うん。けど、今は寒くても平気」
「どうして?」
横を見上げると、柊くんは白い息を吐いていた。正面を向いていた顔がこちらへ向けられる。
「羽森さんと一緒にいるから。寒さも気にならないくらい楽しい」
柊くんの言葉に思わず目を見開いた。薄暗いせいで、顔半分をマフラーに埋めている柊くんの表情まではよく見えない。
「私も、すごく楽しいよ」
見上げながら頬を緩ませた、その瞬間。光のロードを囲む木々たちがぱあっと光を放った。