日々、アオハル
「……わあ、すごい……!」
点灯の時間を迎えた光のロードは、辺り一面が一瞬でキラキラとした光に覆われた。奥の奥まで続く無数の輝きに、うっとりと目が奪われた。
あまりの綺麗さに感動で胸が詰まる。
あちこちに首を動かしながら幻想的な世界に見入っていると、横から感じる視線にはっとした。
回りを光に囲まれているせいで、お互いの顔がよりはっきりと見える。口元に笑みを浮かべる柊くんは、優しい眼差しで私を見下ろしていた。
口を開けたままの腑抜けた顔を見られていたかと思うと、恥ずかしさでいたたまれなくなる。
「す、すごいね!綺麗だね!」
誤魔化すように声を上げると、より一層笑みを深めた柊くんは「すごく綺麗」と返してくれた。
2人で微笑みあって、再び周りを見渡した。幸せな気持ちに包まれながら長く続く道を歩いていく。
「あ、トナカイだ」
「どれ?」
「向こうの左側!」
道の途中には、クリスタルの輝きを放つトナカイやサンタクロースのイルミネーションも置かれている。
「かわいいなあ」と頬を緩めていると、隣からくすっと笑い声がした。
「え、どうしたの?」
「羽森さんの鼻もトナカイみたいになってる」
「えっ?!」
右手で鼻を押さえながら横へと目を向けると、柊くんの鼻のてっぺんも真っ赤に染まっていた。
「柊くんも鼻がトナカイになってるよ」
「え、まじ」
「ふふ。まじ」
くすくすと笑い合いながら、お揃いの赤い鼻で光のトンネルを進んでいく。
心の底から楽しくて、幸せで、この時間が永遠に続けばいいのに。と迫り来るカウントダウンから逃げ出したくなった。