日々、アオハル
「あのね、」と続けると「うん?」と優しい相槌が返ってくる。胸が苦しくなる。
言わなきゃいけない。だけど言いたくない。言葉が上手く出てきてくれなくて。一呼吸置いて、自分の意思を固めた。
「柊くんと一緒にいるのが、すごく楽しいの。けど……、このままじゃ、だめだと思うから、」
「……」
「柊くんと二人で会うのは、これで最後にしたい」
狭まる喉から振り絞った声が、冬の空へと消えた。シンと静かな空気に包まれる。
「……どうして?」
僅かな静寂のあと、柊くんが静かに口を開いた。
柊くんの顔を見ることはできなくて、スカートを握る両手をじっと見つめる。
「私は三田第一のマネージャーで、柊くんは白石東のメンバーだから。私たちが一緒にいると、嫌な思いをする人がいるかもしれない」
大河原くんが背中を押してくれたおかげで、私は今日柊くんと過ごすことができた。私と柊くんの味方だと言ってくれたその言葉が、すごく嬉しくて、心強かった。
一方で、私と柊くんが関わりを持つことに嫌悪感を抱いている人がいるのも事実。水戸さんの考えも理解はできる。
「それだけじゃなくて、何よりも、私自身がこのままじゃだめだと思ったの」
最終的にこの答えを出したのは、水戸さんに言われたからじゃない。