日々、アオハル
「最後の大会が終わるまで、マネージャーとして、部活のことだけに集中したくて、」
「だから、柊くんと二人で会うのは、今日で最後にしたいの」
もう一度、スカートを握る両手に力を込めた。
再び訪れる静寂。遠くの方で流れていたポップなクリスマスソングがやけに大きく聞こえる。今の雰囲気には場違いなそれを聞きながら、柊くんからの言葉を待った。
「俺、三田第一の奴らがずっと羨ましかった」
沈黙の後の第一声。柊くんの言葉に「え?」と思わず顔を上げた。街灯に照らされる柊くんは、自嘲めいた笑みを浮かべていた。
「羽森さんがマネージャーでいいなって、ずっと思ってたんだよ」
「……」
「試合の時、羽森さんからドリンク貰いたいなとか、俺にも頑張れって声かけてほしいなとか。まじでそんなことばっかり考えてた」
「……」
「同じチームになって、羽森さんに100%の力で応援してもらいたかった」
目を伏せていた柊くんの視線がゆらゆらと上がった。苦い笑みを浮かべたままの柊くんと視線が重なる。
「優勝したら付き合ってって台詞、俺も使ってみたかった」
「っ、」
堪えきれなくなった涙がぽろり、頬を滑り落ちていった。